平成22年度中国社会科学院青年研究者代表団第1陣が来日 「気候変動問題」、「東アジア経済」をテーマに交流
7月5日から11日までの日程で、平成22年度中国社会科学院青年研究者代表団第1陣(団長=潘家華・中国社会科学院都市発展・環境研究所所長、副団長=張友雲・中国社会科学院国際合作局副局長)が来日した。 本団招聘事業は、平成19年度より、外務省が推進している「21世紀東アジア青少年大交流計画(日中21世紀交流事業)」に、平成22年度より700名の交流拡大が決定され、そのうちの1分野として、(財)日中友好会館が外務省から委託を受け実施したものである。 一行は、中国社会科学院の幹部3名、同院及び地方の社会科学院に所属する若手研究者48名で構成され、「気候変動問題」及び「東アジア経済」をテーマに2グループに分かれ、東京のほか神戸、京都、大阪を訪問した。 7月6日午前中、一行は外務省を訪問し、分団ごとにブリーフを受けるとともに潘団長以下代表者が藤村修外務副大臣を表敬した。同日夕刻に行われた当財団主催の歓迎レセプションには、藤村副大臣、孔鉉佑中華人民共和国駐日本国代理大使らが出席し、賑やかに行われた。村上立躬理事長が歓迎の挨拶を述べ、「両国の若い研究者が2つの重要なテーマについて、互いに率直な意見を交わし、学び合うことはきわめて有意義である」と、本事業の意義を強調した。藤村副大臣からも、「本事業を通じて中国社会科学院と日本との関係が緊密になることを期待している。」とメッセージが送られた。
気候変動をテーマに環境省、東京都や研究者と交流 気候変動分団は東京で、環境省による「日本の地球温暖化対策」「環境経済成長ビジョン」「日中環境協力」のブリーフ、東京都環境局による「排出権取引に関する取り組み」のブリーフ、高村ゆかり・龍谷大学教授による地球温暖化交渉に関する講義に参加した。団員からは、国と地方自治体の環境管理のネットワーク、多省庁間の役割分担と調整、コペンハーゲン合意達成のための具体的施策など、それぞれの場で活発に質問が出された。 また、最新の環境対策設備を備える電源開発㈱の磯子火力発電所を訪問見学するとともに、経済産業省から地球温暖化対策基本法案の紹介を受けた。 さらに、中央防波堤埋立処分場では、都内から集められた大量の廃棄物が種類別に埋め立て処分されている現場や、新しく埋め立てが進む新海面埋立場を見学した。 京都では、けいはんな学研都市にある㈶地球環境産業技術研究機構を訪問・見学した。国と民間の出資による研究施設で行われている最新の環境技術開発について、団員一同はは興味深く説明を聞いた。また、京都大学大学院経済学研究科の植田和弘教授、諸富徹教授と交流し、潘家華団長も「低酸素社会への転換」をテーマに報告した。急速な発展を続ける中国にとって、経済発展を維持しつつ、いかに環境保護、気候変動問題に対応していくかが大きな課題であり、環境税に対する企業や市民の意識など質問が出された。
東アジア経済分団は、日中の経済状況・協力を中心に意見交換 張友雲副団長率いる東アジア経済分団は東京滞在中、みずほ総合研究所、日本貿易振興機構(JETRO)、日本経済研究センター及び日本経済新聞社と意見交換を行った。それぞれ、代表者の発表の後、質疑応答・意見交換を行ったが、団員からは、年金問題、高齢化社会について、各種統計の分析方法、食品の安全と貿易の関係に至るまで幅広く質問が寄せられ、意見交換の時間が足りないほどであり、団員の関心の高さがうかがえた。 また、ナノレベルの描画装置等の開発を行っている㈱エリオニクスを視察し、団員は、高い技術力とシェアを持つ中小企業のレベルの高さに驚いた様子であった。 関西に移動後、7月9日には、神戸大学において金京拓司・大学院経済学研究科教授の講義があり、講義後、日本の消費税問題や中国の経済成長についてなど次々に質問の手があがっていた。また、10日には、パナソニックミュージアム松下幸之助歴史館及びパナソニックセンター大阪を見学し、中国にもなじみの深いパナソニック創業者松下幸之助氏の経営理念とともに最新の製品を目にし、団員は興味深げに見学していた。
一行は、このほか京都で金閣寺、嵐山等を参観し日本文化を体感した。 7月10日に行われた歓送報告会では、団員から訪日を通しての日本に対する印象や、専門交流における感想とともに外務省をはじめとする日本側受け入れ機関に対する感謝の言葉が述べられた。 代表団は全てのプログラムを終了し、7月11日に関西空港より帰国の途についた。本代表団の受け入れにご協力下さった外務省及び関係機関・企業の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。
(総合交流部)