平成23年度中国高校生訪日団第3陣が来日 富山、千葉、和歌山、滋賀、大阪、京都、兵庫、佐賀、長崎で交流
「21世紀東アジア青少年大交流計画(日中21世紀交流事業)」の一環として、9月11日より19日まで、平成23年度中国高校生訪日団第3陣(王家勤総団長、彭継東副団長、一行総勢397名)が来日した。同団は北京市、河北省、江蘇省、吉林省、広東省、江西省、湖南省、山西省の1市7省から選抜されたメンバーで、Aコース196名を当財団が、Bコース201名を社団法人青年海外協力協会が担当し、各地で交流を行った。 本団は東日本大震災の影響による第1陣、第2陣の延期を受け、今年度初めての中国高校生の訪日となった。 同団Aコースは9月11日に成田から入国し、8泊9日の日程をスタートさせた。翌12日に外務省を訪問し、セミナーを受講、その後歓迎レセプションに出席した。 セミナーでは、様々な渋滞を分野横断的に研究する「渋滞学」を提唱し、国内外から注目を集めている、西成活裕 東京大学 先端科学技術研究センター教授による「渋滞の科学と譲り合い -渋滞学とは何か-」をテーマとした講演を聞いた。中国でも社会問題となっている渋滞の研究に高校生たちは大いに興味持った様子で、「個人の利益と全体の利益は一般に一致しない。損して得を取ることを一人ひとりが学べば、社会全体が得をする」という結論に、深く考えさせられたようだった。 続く歓迎レセプションはA、B両コース合同で行い、中野譲外務大臣政務官、孫建明中国大使館公使参事官ら来賓を含め、総勢500名近くが一堂に会する盛大な会となった。中野譲外務大臣政務官からは、「アジアの発展のために、隣国である日本と中国は協力し、理解し合わないといけない。この機会を通して日本と日本人について学び、日中の懸け橋になってほしい」と、中国高校生への期待が述べられた。両国高校生によるパフォーマンスでは、今年度のジャパンカップチアリーディング日本選手権大会で第7位の成績を収めた東京高等学校チアリーディング部が、アクロバティックで元気あふれるすばらしいパフォーマンスを披露した。また中国側は江蘇省南通市啓秀中学の高校生がチベットの民族舞踊を披露し、会場から大きな拍手が送られた。 充実した学校交流とホームステイ 13日からは4コースに分かれて各地を訪問した。各自治体及び教育委員会、受け入れ校、国際交流団体の協力を得て、富山、千葉、和歌山、滋賀、大阪、京都、兵庫、佐賀、長崎において学校交流やホームステイを実施した。 学校交流では、英会話や太巻きの調理実習などの授業に参加したり、茶道や柔剣道などの部活動を体験したほか、日本と中国の高校生活について意見交換したり、自分の住む町について紹介し合うなど、多彩なプログラムに参加し、同世代の日本高校生と親睦を深めた。今回訪問した学校は中国への修学旅行を実施したり、中国をはじめとする外国との交流に熱心な学校が多く、各校で熱烈な歓迎を受けた。交流の場面では、最初は緊張していたものの高校生同士、好きなアニメやファッション、また将来の夢についてなど、同世代共通の話題で盛り上がり、どの学校でも笑顔に溢れていた。 ホームステイは交流した日本高校生の家庭を中心に、一部地域では国際交流団体の協力による一般市民家庭で実施した。ホストファミリーの温かいもてなしに、中国高校生もすぐに打ち解けることができ、英語や即席で覚えた日本語、また身振り手振りで会話を弾ませていた。「迎えていただいた経験をもとに、今度は自分が中国の高校生をもてなしたい」と話していた。 自由時間には、ホストファミリーと一緒にショッピングに出かけたり、日本の家庭料理を味わうなど、楽しい時間を過ごした。 別れの場面では、日本の友人、お父さん、お母さんと抱き合って名残を惜しみ、別れた後もしばらく涙が止まらない中国高校生の姿があった。ホストファミリーとなった日本の高校生は「日中関係はいろいろあるけれど、中国の人は悪い人ばかりではないということ、外国の人とでも分かりあえることはたくさんあることなど、たくさん学びました」、「たった2日間だったけど、家族の話や学校の話をたくさんすることができて、中国に興味を持つことができました」などと話していた。日中青少年交流の意義や草の根交流の重要性を、実体験として理解してもらえたプログラムとなった。 そのほか一行は、世界遺産の五箇山合掌集落や金閣寺をはじめ、吉野ヶ里歴史公園、琵琶湖、大阪城など各地の名所旧跡や自然景勝地を参観したほか、和紙すき、蒔絵、博多人形の絵付け、友禅染めなどの体験を通し、日本の伝統文化の一端に触れた。また環境・防災学習として、東京都の本所防災館、中央清掃工場、中央防波堤埋立処分場、大阪市立阿倍野防災センター、福岡市民防災センター、佐世保市東部クリーンセンター、兵庫県の港島クリーンセンター、人と防災未来センターを参観した。 全ての交流プログラムを終了し、Aコース196名は多くの思い出を胸に、9月19日に関西空港より帰国の途に着いた。本事業の実施にご協力頂いた外務省、文部科学省、中国大使館、各自治体・教育庁・教育委員会、学校関係者、受入関係機関等の皆様に厚く御礼申し上げたい。 (総合交流部)